ミャンマー日本商工会議所

第21代 会頭 中川 勝司

 

2017年度 ミャンマー日本商工会議所

会頭挨拶

新政権発足後ちょうど丸一年が経過しました。 昨年度を振り返ってみますと、まず5月には岸田外務大臣が日本政府の閣僚としては新政権誕生後初めてミャンマーを訪問。 ネピドーでスー・チー国家最高顧問と面談し、両国の新たな関係がスタートしました。 そして11月にはスー・チー国家最高顧問の日本訪問が実現、安倍首相との首脳会談を行いました。 ここで日本政府は政府開発援助(ODA)や民間投資をあわせた5年間で8000億円規模を支援することを表明しました。 8000億円の中には年間500億円程度の民間投資が含まれており、 正にこの部分の成否は当地で活動しているJCCM会員企業の肩に掛かっているといっても過言ではないと感じています。
また9月のスー・チー国家最高顧問訪米後の10月には、一部残っていた米国の経済制裁が全面的解除となり、 これまで日本企業含む外資企業の資金決済、投資決定に大きな足かせとなっていたものが取り除かれる結果となりました。 我々JCCM会員企業にとっても非常に大きなプラスとなる動きでありました。
そして年明け1月には三村会頭を団長とする日本商工会議所の経済ミッションが来緬。 スー・チー国家最高顧問と面談し、日本企業の投資促進に関する提言書を提出しました。 経済界にとってもまさに激動の2016年度でありました。

さて今年度2017年度でありますが、これまで日本政府ならびに政府関係機関にご尽力頂いている大型の円借款対象プロジェクトが、 仕込みの段階から徐々に実行段階に移ろうとしています。 民間レベルにおきましても、昨年度よりミャンマー政府内で準備が進められてきた新投資法、 新会社法が今年度中には漸く施行される見通しであり、 前述の米国経済制裁の全面解除の影響もあって様々なビジネス機会が創出されるものと期待しております。

1.基本方針

本会議所では、先ず、本会議所定款に規定されている以下の目的に則り、本年度の活動を進めて参ります。

      (1) 日・緬両国間の商工業および経済全般の促進及び強

      (2) 会員相互の親睦

      (3) 会員の商活動発展のための援助及び便宜供与並びに在緬日本人社会への貢献

当会議所はミャンマーにおける唯一の日本企業の経済団体として、 日緬経済関係の強化・改善のための窓口としての役割を担っており、これに変更はありませんが、 会員企業のニーズ等を踏まえ、本年度は特に以下3項目に注力して参りたいと考えます。

 

(1) 官民連携

今後著しい経済発展を遂げるものと期待されるミャンマーにおいて、 本会議所は、日本大使館をはじめとする日本政府・政府機関(JICA、JETRO、JBIC等)との官民連携をより一層密に行なうことで、 あらゆる分野にて、 ミャンマーの国造りを支援し、日本企業のプレゼンスのより一層の向上に努めます。
そのためには、我々会員企業は、ミャンマー政府、各地域政府とも積極的に意見交換の場を持ち、 またUMFCCI等ミャンマー民間企業との連携も図りながら、ミャンマー国民や社会が真に望むもの、 そして我々会員企業にも有益なWIN-WINとなるプロジェクトやビジネスの発掘に注力していくことも大事だと考えています。 日緬官民4者が緊密に交流し、 連携を強化していく輪の中で、本会議所は期待される役割を発揮していきます。

(2) 日緬共同イニシアティブ

昨年度同様、日緬共同イニシアティブは本会議所としても特に重要な取り組みの一つであると考えており、 日本政府ならびに政府機関のご支援の下、各部会や専門委員会を中心に積極的に会員各位の意見を集約し、 投資環境、ビジネス環境の改善に向けミャンマー政府関係者と粘り強く議論を重ねて行きます。

(3) ビジネスマッチング・人材育成への支援

日本の各種経済団体とも連携を深め、ミャンマー企業とのビジネスマッチング・人材育成の分野で積極的な支援を推し進め、 特に日本の中小企業によるミャンマー投資機会促進を図りたいと考えます。

 

2.活動計画
次に2017年度の具体的な活動計画は以下のとおりとします。

①対外活動

  • 日緬共同イニシアティブへの積極的参加。
  • 経団連、日本商工会議所等本邦側各種経済団体との交流。
  • ミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI)、米国商工会議所(American Chamber of Commerce)、 シンガポール商工会議所(SAM)、他国商工会との交流を通じて、会員企業が、情報の交換、 相手との相互認識・理解を深め、ビジネスでの協業の可能性を探る機会を提供する。
  • ホームページの充実を図り、積極的な情報発信を行うことで更なる新規会員の確保を目指す。
  • 在ミャンマー日本人会との連携を図る。 特にヤンゴン日本人会が所管するヤンゴン日本人学校の運営に関しては積極的な支援を行う。

②対内活動

  • 委員会・部会活動ならびに親睦会・視察旅行等を通じて会員企業相互の理解・連携を深める。
  • 委員会、部会については、本会議所委員会・部会設置規約にある活動内容に基づき、 総会後速やかに今年度の具体的な活動内容についての方針を策定する。
  • 会員に対するタイムリーな情報共有に努めると共に、各部会経由で会員企業の意見・提案・課題をタイムリーに吸い上げ対応策を検討する。

本年度は、NLD政権2年目の年であり、民主化政権の成果が問われる大事なタイミングであることから、 外国企業の投資をもって経済発展を加速させることを最大の方策とするNLD 政権に対して、 本会議所は、官民一体となって当国との経済関係強化やビジネス環境の改善提案を従来以上に積極的に実施していく必要があると認識しています。 本会議所活動を一層活発に推進するためには、日本政府・政府機関からのご指導、ご支援を頂くことと合わせて、 会員企業約350社が同じ目的・方針を共有して一致団結していくことが重要な鍵となります。
今年度の理事各位と力を合わせ、全力を尽くしていく所存ですので、何卒宜しくご支援のほど、お願い申し上げます。

2017年5月
第21代 会頭 中川 勝司