ミャンマー日本商工会議所
第24代 会頭 川原 喜夫
2020年度 ミャンマー日本商工会議所
会頭挨拶
アウンサン・スー・チー国家顧問が率いるNLD政権が発足して4年が経過しました。今年秋には総選挙が行われます。
NLD政権は民主化、法の支配、経済の透明性、インフラ整備、民族の和解、教育などに取り組み、着実に成果を上げています。この4年間で新・投資法(Myanmar Investment Law)、国税法(Union Tax Law)、新・会社法(Company Law)、知的財産関連法(Intellectual Property Law)など多くの法令が改定、制定されました。また、昨年は外資系保険会社に営業免許が交付されました。投資関連法の整備や外資規制の緩和により「遅々として進まない」と言われていたものが、目に見える形となり、海外の投資家にとって市場の透明性が増し、我々日系企業を取り巻くビジネス環境は改善しています。
一方、会員のアンケートによると、投資環境上のリスクとして、電力、道路など「未整備なインフラ」、「現地政府の不透明な政策運営」、「不安定な政治・社会情勢」があります。
「未整備なインフラ」については、日本政府が2016年に打ち出した支援パッケージ(2020年までに官民合計8,000億円)により、目に見える形で整備が進んでいます。例えば、ヤンゴン市内からティラワSEZへのアクセスは、道路の拡幅・複線化工事が完了し本年2月に開通式を実施、バゴー橋の建設も進行中で改善が実感されています。
「現地政府の不透明な政策運営」については、日緬両国の官民代表がビジネス環境上の課題などを幅広く議論する「日緬共同イニシアティブ」(MJJI)において、法制度運用の明確化や各種手続きの迅速化・簡素化などについて議論が進んでいます。
「不安定な政治・社会情勢」については、緬国政府と緊密な関係を構築されている日本大使館、及び政府機関と連携しながら、難しい局面においても事実をベースに状況を判断できる体制が整っていることは当会議所の強みとなっています。
昨今の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への対応、また、今年度は11月に総選挙が予定されていますので、日系企業が安心してビジネス活動を継続できるよう、情報発信を続けていきたいと考えております。
当会議所の目的は次の3つです。
(1) 日・緬両国間の商工業及び経済全般の促進及び関係強化
(2) 会員相互の親睦
(3) 会員の商活動発展の為の援助及び便宜供与並びに在緬日本人社会への貢献
当会議所はミャンマーにおける唯一の日本企業の経済団体として、この3つの目的を実現するために、本年度は以下の3項目に注力して参ります。
1.官民連携
これから著しい経済発展が期待されるミャンマーにおいて、 本会議所は、日本大使館をはじめとする日本政府・政府機関(JICA、JETRO等)との官民連携をより密に行い、 ミャンマーの国造りを支援し、日本企業のプレゼンスのより一層の向上に努めます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大と混乱が続く中、日系企業が安心してビジネスを継続できるよう日本大使館と連携し、正しい情報認識の下で危機管理を行い、困難な状況の改善に努めて参ります。
2.日緬共同イニシアティブ
日緬共同イニシアティブは本会議所としても特に重要な取り組みの一つであると考えており、 日本政府ならびに政府機関のご支援の下、各部会や専門委員会を中心に積極的に会員各位の意見を集約し、 投資環境、ビジネス環境の改善に向けミャンマー政府関係者と粘り強く議論を重ねて参ります。
特に今期はJICAとの連携を更に強化し、その専門性を生かし、課題の洗い出しを行い、解決に努めます。
3.各種経済団体との連携強化
・ミャンマー連邦商工会議所連盟(UMFCCI)、日本経済団体連合会、日本商工会議所を始めとする各種経済団体との連携を図り、日緬両国の経済交流促進を図ります。
・今年はミャンマーがASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)の議長国を務めます。ASEAN事務総長との対話を通じ、当該地域の日系企業のビジネス環境を改善するためにASEAN事務局と連携していきます。
・ミャンマー国内においてもUMFCCIを始め各国商工会議所と積極的に意見交換の場を持ち、連携を強化します。
上記取り組みや各種イベントを通じ、会員間の親睦を深め、会員各社様の商活動発展に資する活動を行って参ります。
今年度の理事各位と力を合わせ、全力を尽くしてゆく所存ですので、皆様のご支援・ご協力を何卒宜しくお願い申し上げます。
2020年4月1日
川原 喜夫